平居紀一 KIICHI HIRAI
いやもう、すっかり騙されました。
これはもう、令和最高の誘拐ミステリーとして
強力にプッシュしたい。
――大森望(翻訳家・書評家)
ヤクザ未満の冴えない若者二人組。地上げに悩まされる自動車部品店の父娘。宗教団体にガードされる少女。一体の他殺体と、謎の未発表小説原稿。
それぞれの物語が衝撃のラストでどう収束するのか、見破れ!
定価 880円(税込)
ISBN:978-4-299-01492-4
ヤクザの下っ端、真二と悠人。人使いの荒い兄貴分にこき使われる彼らの冴えない日常は、一体の他殺体を見つけてから変わり始める。同じ頃、調布で自動車部品店を営む植草父娘は、地上げ屋の嫌がらせで廃業に追い込まれかけていた。一方、脱法行為で金を稼ぐ宗教団体・ニルヴァーナでは、教祖の孫娘が誘拐され――。様々な事件が、衝撃のラストにどうやって帰結する⁉ 最終選考委員も騙された誘拐ミステリーの新機軸!
試し読みをするけっこう油断して読んでいたので、事件の真相が明かされたときは思わず茫然。いやもう、すっかり騙されました。いろんな手がかりは無造作に放り出されていたというのに、一生の不覚。
最終選考委員:大森望/翻訳家・書評家
最終選考選評をみる ▶きちんと構成された群像劇演出から、ユニークな誘拐活劇へ、さらには驚愕のコンゲームへと展開していくストーリーテリングの妙が光る。
最終選考委員:香山二三郎/コラムニスト
最終選考選評をみる ▶途中で挿入される異なるエピソードが後半に絡み合い、意外な方向に事態が収拾されていく様子に驚きと爽快感を味わいました。誘拐事件の身代金の受け取り方法なども面白かった。
最終選考委員:瀧井朝世/ライター
最終選考選評をみる ▶Kiichi Hirai
『このミス』大賞は難しい新人賞で、かつ今年は激戦と聞いていたので、良い成績を収められてうれしく思っています。小学校時代は本好き少年でしたが、すっかりそんな過去を忘れ、アウトドア男に成り果てた頃、変な妄想がときどき浮かぶようになり、それをつないでいくと変なストーリーになりました。それが本作です。執筆歴が浅いので、まだ手探りですが、受賞を励みに精進していくつもりです。
素晴らしき騙し合いには笑いと涙に哀愁もある!
破れかぶれの勢いで敵も味方も入り混じり、息もつかせぬサスペンス、スリルのあとのサプライズ!
義理人情に誘われてどんな悪さも憎めない……愛すべきヤクザ者たちの痛快活劇!!
読みどころてんこ盛り、大盤振る舞いの物語。
この面白さは誰にも止められない……
本屋大賞実行委員会 理事/内田剛
最高のバディ小説です! 二人の活躍を続編でもう一度見たいです!
三省堂書店 神保町本店/竹田桃香
ヤクザ者たちの日常がちぎり絵のように人情によって貼り合わされていき全く想像し得なかった読後感を味わうことができました。
紀伊國屋書店 新宿本店/竹田勇生
絶対に交わることがなさそうな、それぞれの登場人物エピソードが徐々に重なりあっていき、後半にかけて完全に融合していく描写に驚きを隠せません……!
読み終わった後に、タイトルの意味に大納得……!
こんなに華麗でドラマチックな誘拐劇は初めてです!
このトリックは見破られません……! 二度読み必至の作品だと思いました!!
また、登場人物のみなさまが、人間味あふれていて近しく感じ、とても魅力的でした!
紀伊國屋書店 福岡本店/宗岡敦子
痛快! 爽快! 誘拐事件でこんな気持になるなんて信じられない。ごめんなさい、今幸せです。
でもまさか、あのピースとあのピースとあのピースがすべて収束するとは、おそれいりました。
二重三重の誘拐劇、トリックにはまりました。
悪人に部類される人が妙に人懐っこい。
みんな丸くおさまり良しとしましょう。あー面白かった。
ジュンク堂書店 滋賀草津店/山中真理
あれよあれよとヘンな方向に物事が転がっていくのが面白く、
騙しあいもコミカルで、エンタメとして楽しめました。
有隣堂 藤沢店/佐伯敦子
ヤクザ未満の冴えない若者二人組。地上げに悩まされる自動車部品店の父娘。宗教団体にガードされる少女。一体の他殺体と、謎の未発表小説原稿。
それぞれの物語が衝撃のラストでどう収束するのか、見破れ!
定価 880円(税込)
ISBN:978-4-299-01492-4
編集部より
冴えない主人公二人のやり取りに笑わされていると、今度は地上げに苦しむ零細部品店の父娘にしんみりさせられ、さらには怪しい宗教団体が登場し!? 驚くほどたくさんの要素が詰め込まれているにもかかわらず、それらがパズルのようにきれいに収束していき、最後の最後でまるごとひっくり返されます。小説が持つさまざまな魅力をぎゅっと詰め込んだような、贅沢な一冊です。
どこがどう繋がり、どういう結末を迎えるのか、ぜひ推理しながら読んでみてください。